唐澤経営コンサルティング事務所代表の唐澤です。
中小企業診断士・ITストラテジストの資格を持ち、20年以上にわたり、中堅中小企業の経営戦略立案や業務改革、IT化構想策定のコンサルティングに従事してきました。
このコラムでは、私のコンサルティング経験をもとに、中堅中小企業の経営に役立つ情報を発信しています。
「社員が本音を話してくれない」「何を考えているのか分からない」と感じる経営者の方は多いのではないでしょうか。社員の本音を知ることは、組織のモチベーションや業績に大きく影響する重要な要素です。
私たち唐澤経営コンサルティング事務所では、「コーチング」と「コンサルティング」を融合させたアプローチを活用し、経営者が社員との信頼関係を深め、本音を引き出せる環境づくりをサポートしています。
本記事では、社員の本音を引き出し、組織の一体感を高めるための具体的なコミュニケーション方法を紹介します。これらを実践することで、社員との距離が縮まり、組織全体の士気も向上するでしょう。
社員の本音を引き出すための基本

質問は「過去・現在・未来」で考える
社員の本音を上手に引き出すためには、質問の仕方が重要です。過去・現在・未来の流れに沿った質問を意識してみましょう。
- 過去:「入社当時、どんな印象を持ちましたか?」
- 現在:「今の仕事にやりがいはありますか?どんな点が大変ですか?」
- 未来:「今後、どのようなキャリアや成長を考えていますか?」
こうした質問の流れによって、社員の考え方の変化や成長過程を自然に把握できます。
リアクション付きの質問術
ただ質問するだけではなく、ポジティブなリアクションを加えることで、社員が安心して本音を話せるようになります。
- 「なるほど、そんな考え方もあるんですね」
- 「面白い視点ですね、もっと詳しく聞かせてもらえますか?」
相手の意見を尊重し、前向きな返しをすることで「話しやすい雰囲気」をつくり出せます。
日常会話の積み重ねが大切
フォーマルな面談だけで本音を引き出すのは難しいものです。
- 昼食時の雑談
- 休憩時間のちょっとした会話
- 社内SNSでの気軽なコミュニケーション
こうした日常のやり取りが積み重なって、社員が「話しても大丈夫」と思える環境が生まれます。ただし、特定の社員だけに偏らず全社員と公平な距離感を保つことも重要です。
信頼関係を築くためのステップ

安心感を与える環境づくり
経営者としては、社員が本音を言いやすい環境をつくることが大切です。
- レイアウトやインテリアを工夫して、オープンなスペースを設ける
- 定期的にコミュニケーションミーティングを実施し、意見交換の場を確保
社員が「安心して意見を言える環境」を整えることが、組織の成長に直結します。
当事務所のコーチング型コンサルティングでは、こうした環境づくりを経営者と共に進め、持続可能な組織強化を支援しています。
傾聴の技術
社員からの意見を受け止めるときには、傾聴スキルを身につけることが大切です。
- アイコンタクトを忘れない
- 相手の話を途中で遮らない
- 適度に相槌を打つ
- 質問を投げかけて理解を深める
これらのポイントを意識するだけで、相手の安心感が高まり、より率直な意見が引き出せます。
効果的なフィードバック
社員の意見や提案に対しては、肯定的な姿勢で受け止め、具体的なフィードバックを返すことが重要です。
- 「それはいいアイデアですね。実行するにはどんなステップが必要だと思いますか?」
- 「面白い視点です。もっと詳しく聞いてみましょうか?」
ポジティブな評価をしながら、次のアクションを一緒に検討することで、社員は自分の意見が尊重されていると実感できます。
私の体験談

ある中堅企業の社長から、「社員の意見を参考にしながら経営をしていきたいのだが、社員が本音を話してくれていない気がする」と相談を受けたことがあります。
この会社の業績はそれほど悪くはなかったのですが、社長は何か物足りなさを感じていました。話を聞いてみると、社員との対話が形式的になっていて、本当の思いが伝わってこないというのです。
そこで、私たちは社長と社員との間に「コミュニケーションミーティング」を導入し、次のような施策を実施しました。
- 事前ディスカッションの実施
- 部門ごとにテーマを設定し、自由に意見を出し合う場を設ける。
- 上司は過度に口を出さず、社員が自発的に意見を言いやすい環境を作る。
- フィードバックセッションの実施
- 社長が直接、社員の意見や提案にフィードバックを行う。
- 批判的なコメントは控え、良い点を見つけてポジティブなフィードバックを行う。
- 非公式な懇親会の開催
- 業務後にカジュアルな懇親会を実施し、リラックスした雰囲気の中で意見交換を行う。
これらの取り組みにより、半年後には社員からの改善提案が増え、組織全体のモチベーションが向上しました。この経験から、「本音を引き出す環境づくり」の重要性を改めて実感しました。
Q&A
Q1: 社員が批判的な意見を言ってきた場合、どう対応すべきですか?
A1 批判的な意見こそ、会社として改善するチャンスです。まずは感謝の気持ちを伝え、具体的な改善案を一緒に考えるようにしましょう。「その指摘ありがとう。具体的にどうすればよくなると思いますか?」といった対応が効果的です。
Q2: 1on1ミーティングの頻度はどのくらいが適切ですか?
A: 一般的には週1回~月1回のペースで行うことが多いですが、会社の規模や状況によっても異なります。むしろ重要なのは定期的に行うことと、十分な時間(30分~1時間程度)を確保することです。
ただし、従業員規模が一定になると、社長が社員と直接1on1ミーティングを行うことは物理的にも時間的にも難しいでしょう。
社長は部門長などの管理職との1on1ミーティングにとどめ、社員との1on1ミーティングは管理職に任せるなど、権限移譲を図っていくとよいでしょう。
Q3: 社員が本音を話さない理由は何でしょうか?
A: 主な理由として、「意見を言っても社長は変わらない」という諦め、「逆に批判されるのではないか」という恐れ、「自分の立場が悪くなって出世や処遇に悪影響がある」という不安などが挙げられます。
これらの障壁を取り除けるような環境づくり、雰囲気作りが重要となります。
まとめ
社員の本音を引き出し、信頼関係を築くには、適切なコミュニケーションの仕組みづくりが不可欠です。具体的には、
- 過去・現在・未来を意識した質問術を取り入れる
- ポジティブなリアクションと傾聴スキルを活用する
- 日常的な軽い雑談を通じて距離感を縮める
- フィードバックを通じた安心感を醸成する
こうしたステップを踏むことで、社員が「意見を言っても大丈夫」と思える環境を作ることができます。その結果、社内のモチベーションや生産性が向上し、新しいアイデアや改善提案が活発に生まれるようになるでしょう。
しかし、これを企業全体に定着させ、持続的な成果につなげるには、専門的な視点とアプローチが必要です。
唐澤経営コンサルティング事務所では、経営者が「社員の本音を引き出し、組織を強くする」ために、コーチングとコンサルティングを組み合わせたアプローチでコンサルティングを行っています。
「社員との信頼関係を深め、組織の力を最大化したいとお考えなら、ぜひご相談ください。」
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