唐澤経営コンサルティング事務所代表の唐澤です。
中小企業診断士・ITストラテジストの資格を持ち、20年以上にわたり、中堅中小企業の経営戦略立案や業務改革、IT化構想策定のコンサルティングに従事してきました。

このコラムでは、私のコンサルティング経験をもとに、中堅中小企業の経営に役立つ情報を発信しています。

中小企業が持続的に成長し、新たな事業や挑戦に踏み出すには、十分な資金が必要となります。その中でも補助金は、返済不要の資金調達方法として注目されています。

ただし、多くの経営者が「聞いたことはあるが、仕組みや活用方法がよくわからない」という状況にあるのが実情です。

補助金を上手に活用すれば、新規事業の立ち上げや生産性向上、業態転換などを支援する強力なツールになります。

本記事では、補助金の基本的な仕組みから、助成金との違い、主な制度の種類まで、初めての方でもわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、補助金に対する理解を深め、次の申請時には有利に進められる知識を得ることができるでしょう。

補助金の基本用語解説

補助金を活用するには、まず補助金の世界でよく使われる基本的な用語を正確に理解することが重要です。

  • 補助上限額
    「補助上限額」とは、補助金として支給される最大金額のことです。例えば、補助金の上限額が1,000万円の場合、その金額を超える補助金を受け取ることはできません。
    補助上限額は、補助金ごとに異なり、申請枠や従業員数等によっても変わるため、必ず公募要領を確認してください。上限額が設定されていることで、補助金を公平に配分し、より多くの企業が活用できる仕組みとなっています。なお、補助金・補助上限額ともに税抜ですので、その点もご注意ください。
  • 補助率
    「補助率」は、補助事業にかかる総経費のうち、補助金が負担する割合を指します。例えば、補助率が50%の場合、100万円(税抜き)の事業を行った場合、50万円は補助金で賄われ、残りの50万円は自己資金での負担が求められます。
    補助率は3分の1や4分の3など、補助金や企業規模、性質によって異なるため、必ず公募要領を確認してください。

補助金とは?助成金との違い

補助金と助成金は、どちらも返済不要の資金として中小企業にとって重要な選択肢です。ただし、それぞれの内容や目的、申請方法には大きな違いがあります。

ここでは、それぞれの特徴を解説します。

■補助金
補助金は、経済産業省や中小企業庁などが管轄する資金制度で、新しい事業や技術開発、事業拡大を支援する目的で提供されます。

補助金には次のような特徴があります。

  • 競争型であること
    補助金は申請すれば必ず受け取れるものではありません。事業計画書を提出し、厳しい審査を経て採択される必要があります。採択率は補助金の種類や年度によって異なり、競争が激しい補助金ほど、説得力のある事業計画書や綿密な準備が求められます。
  • 具体的な事業目的がある
    補助金は、地域振興や産業振興、デジタル化推進などの政策目的に合致する事業に対して提供されます。たとえば「IT導入補助金」は、デジタル化を通じて中小企業の生産性向上を促進する目的で設けられています。このように、補助金ごとに明確な目的が設定されています。

■助成金との違い
助成金は主に厚生労働省が管轄し、雇用促進や労働環境の改善を目的とする制度です。
特徴として、条件を満たせば基本的に支給される点が挙げられます。

■当事務所の支援領域
唐澤経営コンサルティング事務所では、事業計画の策定支援を通じて採択の確率を高めることはもちろん、補助事業の成功を実現するための伴走型支援を行っています。

なお、当事務所は、補助金申請を専門としており、助成金の申請支援は行っておりませんので、ご注意ください。

補助金は、貴社の成長戦略を具現化するための強力なツールであり、活用次第で大きなビジネスチャンスを掴むことができます。そして、補助金を活用するには、政策目的や制度の仕組みを正しく理解することが重要です。

補助金と助成金の違いを理解し、自社のニーズに最適な資金制度を選択してください。

補助金の募集機関の種類

補助金はさまざまな機関によって募集され、それぞれの補助金には異なる特徴があります。特に国の補助金制度は、中小企業が積極的に活用すべき重要な選択肢です。

ここでは、主な募集機関と具体的な補助金を紹介します。

■国の補助金
国が提供する補助金は、全国の中堅・中小企業が対象で、成長を目指す企業に向けた支援が充実しています。

以下に経済産業省所管の代表的な補助金を3つ紹介します。

  • ものづくり補助金
    革新的な製品開発やプロセス改善を支援する補助金で、製造業に限らず幅広い業種で利用可能です。たとえば、IoTやAIを活用した技術革新が対象となることもあります。
  • 事業承継・M&A補助金
    中小企業の生産性向上や持続的な賃上げを目的に、事業承継に伴う設備投資やM&A、PMI(経営統合)の専門家活用費用などを支援する補助金です。後継者問題を抱える企業や、事業承継を契機に新たな展開を目指す企業、M&Aを行う企業に適しています。対象となる取り組みには、設備投資や新商品開発などが含まれます。
  • 小規模事業者持続化補助金
    小規模事業者が行う販路開拓や経営計画の策定を支援する補助金です。広告費や展示会出展費なども対象となるため、売上向上を目指す小規模事業者にとって有益な補助金です。

■地方自治体
地方自治体が提供する補助金は、地域の経済活性化を目的としており、地域特性に応じた支援が行われます。

なお、当事務所では、以下の地方自治体補助金の採択実績があります。

  • 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(東京都)
  • 明日にチャレンジ中小企業基盤強化事業(東京都)
  • 神奈川県ビジネスモデル転換補助金(神奈川県)
  • 岡山市中小企業支援事業補助金(岡山市)

■民間団体や業界団体
一部の業界団体や財団法人も補助金を提供しています。特に専門性の高い事業や特定業種に特化した補助金が中心です。

■当事務所のサポート
唐澤経営コンサルティング事務所では、「ものづくり補助金」「事業承継・M&A補助金」など、主要な国の補助金に加え、地方自治体の補助金も含めて中小企業の成長を支援しております。これらの補助金を活用したい企業様は、まず無料相談を以下のページよりお申し込みください。

主な2025年度の補助金

2025年度には、中小企業向けに多くの補助金制度が予定されています。

ここでは、事業の成長や課題解決に役立つ補助金の概要を紹介します。

■小規模事業者持続化補助金

  • 目的:商工会・商工会議所等と一体となって経営計画を作成し、当該計画に基づいて行う販路開拓等の取組を支援する
  • 補助率:2/3~3/4
  • 補助額: 最大5,000万円(支援枠、条件等によって異なる)

詳細は以下の記事をご覧下さい。


■ものづくり補助金

  • 目的:中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援する
  • 補助率:1/2~2/3
  • 補助額: 最大4,000万円(応募枠、従業員数等によって異なる)

詳細は以下の記事をご覧下さい。


■事業承継・M&A補助金

  • 目的:中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、事業承継に際しての設備投資や、M&A・PMIの専門家活用費用等を支援する補助金
  • 補助率: 1/2~2/3
  • 補助額: 最大2,000万円(支援枠、類型等によって異なる)

詳細は以下の記事をご覧下さい。

■新事業進出補助金

  • 目的:企業の成長・拡大を通した生産性向上や賃上げを促すために、中小企業等が行う、既存事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援する
  • 補助率:1/2
  • 補助額: 最大9,000万円(従業員数、賃上げの程度によって異なる)

詳細は以下の記事をご覧下さい。

2025年度の補助金も、公募要領の確認が最重要です。そして必要な要件を満たすだけでなく、しっかりとした事業計画書を作成し、補助金の目的に沿った申請書作成・書類準備が求められます。

適切な準備を行い、採択の可能性を最大限に高めていきましょう。

なお、本コラムでは引き続き最新の補助金情報を提供してまいります。

補助金申請時の注意点と当事務所のサポート

補助金を効果的に活用するには、事前の準備と正確な申請手続きが不可欠です。

ここでは、申請時に特に注意すべきポイントを解説します。

■補助金申請時の注意点

  • 公募要領の徹底確認
    補助金ごとに定められた公募要領には、対象となる事業、応募条件、必要書類などの詳細が記載されています。公募要領を読み飛ばすと、重要な要件を見落として要件の不一致や書類不備の原因により、不採択になる可能性があります。
  • 事業計画の具体性
    補助金の申請には、事業計画書が必須です。この計画書では、事業の目的や具体的な成果、実現可能性を明確に記載する必要があります。抽象的な表現や曖昧な目標ではなく、具体的な数値やステップを示すことで説得力が高まります。
  • スケジュール管理
    補助金の申請期間や報告期限を守ることは、採択に向けて最低限守るべき基本的なルールです。申請の締切は厳守であり、早期の準備がカギとなります。特に、各種書類作成や見積もり(相見積もり含む)取得には時間を要するため、スケジュールを逆算して計画的に進めることが重要です。
  • 経費の適正性
    補助金で認められる対象経費は厳密に定められています。不適切な経費の申請や計上ミスが発覚すると、補助金の採択が取り消されるリスクがあります。事前に対象経費をしっかりと確認し、申請内容を正確に記載する必要があります。

■当事務所のサポート
唐澤経営コンサルティング事務所では、中小企業が補助金を活用しやすくするための包括的な支援を提供しています。

当事務所のサポート内容は以下の通りです。

  • 事業計画書の作成支援
    採択される確率を高める事業計画書を作成するために、専門知識と経験を活かしてサポートします。
  • 申請手続きにおける書類作成方法のアドバイス提供・提出資料の確認
    申請手続きにおける書類の作成方法や提出書類の確認など、煩雑な申請手続きをサポートいたします。
  • 採択後の各種申請書類作成方法、差し戻し対応等へのアドバイス提供
    採択後の報告書作成方法や差し戻し対応などに対し、アドバイス提供いたします。
  • 補助事業の目標達成に向けた伴走支援
    補助事業の目標達成に向け定例会議を通じて進捗状況・課題を把握し、課題解決に必要な各種アドバイス提供をいたします。

補助金申請は、事業拡大のための一歩となる重要なプロセスです。

専門的な知識が必要な場面も多いため、当事務所にご相談ください。無料コンサルティング(初回1回のみ)を通じて、サポートいたします。

貴社の成長を全力でサポートいたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

Q&A

Q1: 補助金はどのように探せばいいですか?
A: 国や地方自治体の公式ウェブサイトを定期的にチェックするのが基本です。ミラサポPlusJ-Net21をご確認ください。

Q2: 補助金の申請書類作成にはどれくらい時間がかかりますか?
A: 補助金の種類や事業規模によって異なりますが、最低でも1カ月以上程度は見ておいた方がよいです。早めの準備を心掛け、必要に応じて専門家のサポートを受けることをおすすめします。

Q3: 補助金を受け取るまでにどのくらいの期間がかかりますか?
A: 申請から採択通知、補助金の支給までは数ヶ月から長いものだと1年以上かかるのが一般的です。補助金は原則清算払いとなりますので、採択されたからといってすぐに補助金が入金されるわけではない点は注意が必要です。事業計画に則って補助事業を遂行し、事業に必要な支払いをすべて完了して必要な報告を行った後で、補助金は入金されます。補助金が入金されるまでの資金計画を事前にしっかり立てておきましょう。

Q4: 採択されなかった場合、再申請は可能ですか?
A: 多くの場合、再申請は可能です。ただし、前回の申請内容を踏まえ、採択に必要な改善を施した事業計画書を作成する必要があります。当事務所では、不採択理由(近年は公開されなくなってきました)を分析し、次回採択率を高めるためのアドバイス提供も行います。

Q5: 補助金の申請は、どのような企業でも可能ですか?
A: すべての企業が対象ではありません。各補助金には、事業規模や業種などの条件がありますので、公募要領をご確認ください。

まとめ

補助金は、中小企業が新たな挑戦を進めるための強力な資金調達手段です。しかし、その申請には正確な知識と入念な準備が求められます。今回ご紹介した基礎知識や注意点を踏まえ、最適な補助金を選択し、採択に向けた具体的な計画を立てていきましょう。

唐澤経営コンサルティング事務所では、補助金申請に必要な一連のプロセスをトータルサポートいたします。初めて補助金に挑戦する方も、経験豊富な経営コンサルタントがあなたの背中を押します。

2025年度の補助金公募開始に備え、今から準備を進めませんか?

無料相談を随時受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。補助金を通じて、貴社の成長を全力でサポートさせていただきます。
まずは下記の「補助金申請支援に関する当事務所の方針」をご一読の上、方針にご共感いただける場合のみご相談ください。

また、補助金申請サポートのサービス資料をご用意しています。サービス内容や料金にして詳しく知りたい方は、下記のページより資料をダウンロードいただけます。

お問い合わせや無料相談は、以下のフォームからお願いいたします。

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この記事を書いた人

唐澤 智哉

新卒で大手金融系シンクタンクに入社し、大手企業向けのITコンサルティングに従事。その後、2社のコンサルティングファームにて、大手企業向けの業務改革・ITコンサルティングに従事。
2012年に大手IT企業に入社し、中小企業向けのコンサルティング事業の立ち上げの中心メンバーとして事業化までを経験し、10年間中小企業向けの経営コンサルティング・ITコンサルティングや研修・セミナーに従事。
その後、2022年に唐澤経営コンサルティング事務所を創業。中小企業向けの経営コンサルティング、DXコンサルティング、研修・セミナー等のサービスを提供している。
趣味は読書で、年間200冊近くの本を読む。