唐澤経営コンサルティング事務所の唐澤です。中小企業診断士・ITストラテジストの資格を持ち、20年以上にわたり、中堅中小企業の経営戦略立案や業務改革、IT化構想策定などのコンサルティングに従事してきました。
このコラムでは、私のこれまでのコンサルティング経験をもとに、中堅中小企業の経営に役立つ情報を発信しています。
組織で働く上で、人間関係の悩みは尽きません。企業規模が大きくなるほど、意見の対立や部門間の軋轢が顕在化し、社員のモチベーション低下や離職のリスクを高めます。こうした摩擦を放置せず、組織全体をスムーズに機能させるには、社内外を問わず「組織の潤滑油」となる存在が不可欠です。本コラムでは、組織の摩擦を解消する「潤滑油」人材の意義と見つけ方・育て方を解説します。
なお、本内容は以下の動画でも解説していますので、もしよろしければご視聴ください。
組織の摩擦を解消する「潤滑油」人材とは?
機械部品同士の摩擦を減らす潤滑油のように、組織内の意見や立場の違いによる摩擦を解消し、全体がスムーズに動くよう促す役割を担うのが「組織の潤滑油」人材です。具体的には、以下の2つの役割があります。
- 部門間や階層間で生じる摩擦を解消し、組織全体の機能を最適化する
- 意見の違いをポジティブなエネルギーに変換し、成果を最大化する
コンサルタントが果たす「潤滑油」としての3つの役割

私はコンサルタントとして、その中立性と専門性を活かし、組織の潤滑油として以下の3つの役割を意識して活動してます。
- 心理的安全性の確保
相手が安心して本音を話せる場をつくることで、クライアントの本音を引き出し、真の問題点を特定して課題解決を支援します。 - 論点の抽象度を調節して共通点を見出す
一見対立する意見であっても、その抽象度を調節することで、共通点を見いだせる場合があります。具体的事例として、ITのシステム仕様で対立していた2部門のディスカッションにおけるファシリテーターを経営コンサルタントとして務めたことがあります。詳細仕様の部分では、両部門の間には明らかな意見対立はありました。しかし、「顧客満足度を高める」という目的に立ち返って検証することで、両部門の共通点を見出すことができ、結果として合意形成してシステム仕様を確定できました。 - 言葉・情報の「翻訳」
立場や利害関係上、社内の人間同士では直接言いにくいこともあります。そこで第三者の経営コンサルタントである私が、伝えたいことを翻訳しながら橋渡しする役割を果たします。例えば役員会において、社長には直接言いづらい取締役の本音を、コンサルタントである私が分かりやすい言葉で橋渡しし、議論促進のきっかけを作る等の例があります。
社内で「潤滑油」人材を育成するには?
外部に頼るだけでなく、社内でも組織の潤滑油となる人材を育成することが長期的には重要です。まずは「チャーム」を備えた人材を見極めましょう。チャームとは、人を引きつけ信頼を得る力のことで、以下の要素を持つ人物を指します。
- 人と適切な距離感が取れる
- 高いコミュニケーション能力がある(傾聴や配慮ある指摘など)
- 見た目がよい(清潔感ある身だしなみ・姿勢)
これらの特徴を持つ「チャーム」を備えた人材に対して以下の研修・訓練を施すことで、潤滑油としての機能を強化することができます。
- 傾聴力トレーニング:相手の話を深く理解し、受け止める技術
- ファシリテーション演習:会議をスムーズに進行し、多様な意見を引き出すスキル
- ロジカルシンキング研修:議論を整理し、筋道を立てて考える力
まとめ
組織内での意見の対立は組織にとって不可避ですが、それ自体は悪ではありません。重要なのは、その対立を「会社の方向性を再確認し、よりよい解決策を生むチャンス」と捉える姿勢です。感情的な対立ではなく、建設的な議論へと昇華させるため、互いの背景や意図を理解しようとする「受容の姿勢」が不可欠です。
組織における人間関係における摩擦は避けられませんが、それをネガティブに捉える必要はありません。組織を円滑に動かし、対立を成果へとつなげる「潤滑油」人材の存在と育成は、組織の持続的成長に直結します。外部コンサルタントのサポートを効果的に活用しつつ、社内でもチャームを備えた人材を育て、摩擦をポジティブなエネルギーに変えていきましょう。
唐澤経営コンサルティング事務所では、こうした課題に取り組む経営者を支援し、組織の多様性を強みへと変える実践的なサポートを行っています。具体的には、社員間の価値観の違いを埋める対話の場づくりや、未来志向のビジョン共有の支援、さらにはリーダーシップをさらに強化するためのプログラムなどを提供しています。これらの支援を通じて、経営者が持つ課題に寄り添い、持続可能な成長を後押しします。れからの中小企業経営における最強の武器になるはずです。長期的に見れば、顧客満足度・社員満足度・企業の収益性のすべてが高まっていくことでしょう。
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