唐澤経営コンサルティング事務所の唐澤です。中小企業診断士・ITストラテジストの資格を持ち、20年以上にわたり、中堅・中小企業の経営戦略立案や業務改革、IT化構想策定などのコンサルティングに従事してきました。
「うちの業務は特殊だから、なかなか標準化できないんだよね…」
「特定のベテラン社員が休んでしまうと、途端に仕事が回らなくなる…」
多くの経営者からこのようなご相談をいただきますが、その多くは、業務が個人の頭の中にしかない「暗黙知」の状態にあることに起因しています。例えれば、地図を持たずに霧の中を歩いているようなものです。
特に中堅・中小企業においては、限られた人員で成果を最大化しなければなりません。そこで不可欠となるのが、業務フロー図を作成して業務を可視化することです。業務フロー図は、単なるマニュアル作成のための資料ではありません。部署間の壁を取り払い、現場の「あうんの呼吸」に頼らない強い組織を作るための、いわば「共通言語」となるものです。
本記事では、これまで数多くの企業の相談に応じ、超大手企業の決算早期化業務改革から中小企業の現場業務の改善までを支援してきた私の経験に基づき、現場を混乱させずに、明日からすぐに実践できる「業務フロー図の書き方」を徹底解説します。


業務フロー図がもたらす4つの価値
業務フロー図とは、断片的な作業を一筋の「流れ」として描き出したものです。具体的なイメージは、以下となります。

業務フロー図を作成して業務の流れを図解することには、以下の4つの価値があります。
- 業務の視覚化・標準化
「誰が、いつ、何をしているか」が一目でわかるようになり、担当者による品質のバラツキを抑え、業務の再現性を確保します。
- 業務における問題の発見
図にすることで、複雑すぎる工程や二重入力、承認待ちによる停滞といった「ムダ」が視覚的に浮き彫りになります。
- 担当者および他部署間の相互理解
「自分の仕事が次にどう繋がるのか」が明確になり、部署をまたぐ情報の受け渡しがスムーズになります。
- 業務の保守性・拡張性の向上
業務の流れが透明化することにより、将来的なシステム導入や急な環境変化にも柔軟に対応できる強靭な組織を作ります。
失敗しないための「業務フロー作成・7つの鉄則」
現場で実際に使える「業務の地図」を作るために、以下の7つのポイントを厳守してください。
- 登場人物を全員書き出す:関わる部署や担当者をすべて洗い出し、それぞれの「レーン(担当領域)」を用意します。
- 作業は「1つずつ」順番に並べる:誰が何をしているか、作業をカードのように時系列で並べます。
- 作業内容は「動作」で書く:「申請書」ではなく「申請書作成」のように、動きがわかる動詞で書くのがコツです。
- 「もし~なら?」の分岐をハッキリさせる:条件によって流れが変わるポイント(◇)を明確にします。
- 使う記号はシンプルに統一する:「開始・終了は楕円」「作業は□」「判断は◇」など、ルールを統一します。
- 必ず「現場の人」に確認してもらう:机上の空論にならないよう、必ず実際の現場のチェックを受けます。
- 最初から完璧を目指さない:まずは60点の完成度で全体像を共有し、対話を通じて精度を高めていきます。
改めて業務フロー図のサンプルを以下に示しますので、7つのポイントと照らし合わせながら見てみてください。



【実践】ホワイトボードと付箋で進める5つのステップ
現場で最も効果が高い、ホワイトボードと付箋を使った実践的かつ具体的な進め方をご紹介します。
- 準備
ホワイトボードの左端に担当部署・担当者・システム名を記入し、横線を引いて「レーン」を分けます。 - 開始と終了の固定
起点(例:注文書受領)と終着点(例:納品)を付箋に書き、範囲を明確にします。 - 作業の書き出し
関係者が自分の作業を付箋に書き出し、該当するレーンに貼ります。使用ツール(Excel等)もメモします。 - 時系列の整列
実際の業務順序に従って、左から右へ付箋を並べ替えます。この議論の過程にこそ価値があります。 - 線の接続と分岐の記述
付箋同士をペンで結びます。判断が必要な箇所は線を分岐させ、条件を書き込みます。 - 現場確認と修正
関係者全員で眺め、事実と相違がないか、抜け漏れがないかをその場で修正・合意します。


Q&A
Q: どの程度の細かさで書けばいいですか?
A: 最初は「誰が何を受け取り、何をして次に渡すか」が分かる程度で十分です。細かすぎると作成自体が目的化してしまいます。
Q: 業務フロー図作成に特別なソフトは必要ですか?
A: 最初はホワイトボードや付箋で十分です。全員で議論しながら付箋を動かすプロセスが、共通認識を作る大きな武器になります。もし文書化する場合でも、特別なソフトを使用せず、Excelでもパワーポイントで作成することが可能です。
最後に:業務フロー図は「改善のスタートライン」
業務フロー図を書くこと自体はゴールではありません。図が完成した瞬間に、ようやく「どこにメスを入れるべきか」という本質的な議論がスタートします。
まずは、御社で最も「ブラックボックス化」している業務を一つ選び、関係部署のメンバーと30分間、ホワイトボードを囲んでみませんか?その一歩が、属人化を解消し、10年後も生き残る強い組織への出発点となります。
私たち唐澤経営コンサルティング事務所では、「コーチング」と「コンサルティング」を組み合わせ、中堅・中小企業の経営課題解決と成長戦略の策定を強力にサポートいたします。経営に関するご相談や無料相談をご希望の方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。


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