唐澤経営コンサルティング事務所代表の唐澤です。中小企業診断士・ITストラテジストの資格を持ち、20年以上にわたり、中堅中小企業の経営戦略立案や業務改革、IT化構想策定のコンサルティングに従事してきました。

このコラムでは、私のコンサルティング経験をもとに、中堅中小企業の経営に役立つ情報を発信しています。

「社員との温度差」——これは多くの経営者が直面する重要な課題の一つです。

特に組織が成長するにつれ、全社員が同じ方向を向いて働くことが難しくなり、結果として一体感の欠如が企業の売上、生産性、さらには社員満足度にまで影響を与えることがあります。

私たち唐澤経営コンサルティング事務所では、「コーチング」と「コンサルティング」を組み合わせた独自のアプローチを通じて、経営者が社員との温度差を解消し、組織の一体感を高めるための支援を行っています。

本記事では、組織の一体感を高めるための具体的なステップや、中小企業でも実践可能な成功事例をご紹介します。

社員との温度差に悩む経営者の方にとって、この記事が一つの解決策となれば幸いです。

組織の一体感とは?

組織の一体感とは、単なる表面的な協調ではありません。全メンバーが共通のビジョン・価値観を深く理解し、自発的に行動する状態を指します。経営者から現場の社員まで、それぞれが同じゴールへ向かって進んでいる組織は、個々の力が相乗効果を生み出し、企業全体のパフォーマンスを飛躍的に高めます。

組織の一体感がもたらすメリット

  1. 生産性の向上
    チーム内の連携がスムーズになり、無駄な重複作業や調整コストが減少。
  2. 従業員満足度の向上
    共通の目標に向かって働くことで、仕事の意義を実感しやすくなりモチベーションがアップ。
  3. イノベーションの促進
    心理的安全性の高い職場で自由に意見交換ができ、新しいアイデアや発想が生まれやすい。
  4. 意思決定の迅速化
    経営の方向性が明確になるため、各現場での判断が早くなる。
  5. ブランド価値の向上
    社内外に一貫したメッセージを発信でき、企業の信頼性とブランドイメージが高まる。

一体感を高めるためのステップ

中小企業でも、以下のステップを意識して取り組むことで、強い一体感のある組織をつくれます。

ビジョンの共有

組織作りの第一歩は、経営者自らが魅力的なビジョンを示すことです。これを社員一人ひとりの心に響くストーリーとして語り、全社的に共有することで、「自分もそのビジョンを実現したい」という想いを醸成できます。

役割と責任の明確化

各社員が自分の役割や責任範囲を理解し、それが全体のビジョン達成にどのように貢献しているのかを認識できるようにしましょう。これにより、社員が主体的に業務に取り組むようになります。

フィードバック文化の醸成

定期的なフィードバックを習慣化することで、社員同士の信頼関係が深まり、学習効果も高まります。「コーチング」の手法を取り入れることで、単なる指摘ではなく、社員が主体的に改善や成長を考えるきっかけを作ることができます。

オープンなコミュニケーション

階層や部門の壁を取り払い、情報共有を円滑に行う環境を整備します。具体的には、全体ミーティングの開催経営者と現場社員の直接対話の機会などを定期的に設けると効果的です。

共通の価値観の浸透

社内の核となる価値観を明文化し、日々の業務や意思決定の中で実践します。意思決定が一貫することで、組織としての方向性がブレにくくなります。

成功の共有と称賛

成功事例は積極的に全社へ共有し、称賛することで、ポジティブな連鎖反応を生み出します。社員が「自分も頑張ろう」と思える文化を育てることが大切です。

成功事例から学ぶ組織作り

定期的な社内勉強会(製造業A社)

月1回の勉強会で、持ち回りで社員が自分の業務や学んだことを発表。部署の垣根を越えた情報共有が進むと同時に、プレゼンテーションスキルの向上にもつながりました。

経営者とのコミュニケーションミーティング(建設業B社)

3カ月に1回、社長が数名の社員と直接対話する時間を設けています。社員は自由に意見や提案ができ、経営者はそれを真摯に受け止め経営に反映。経営参画意識が高まり、会社への帰属意識も強化されました。

部門横断型プロジェクト(製造業C社)

新商品の開発や販売促進など、特定のプロジェクトチームを部門を横断して結成。マーケティング、営業、製造などが一緒に取り組むことで、全社的な一体感と協力関係が深まりました。

社内コミュニケーションの重要性

よくある問題点

  • 情報の偏り: 一部の部署や社員にしか重要情報が行き渡らない
  • 上下関係の壁: 上司と部下が意見交換しづらい社風
  • 技術的障害: 適切なコミュニケーションツールが導入されていない
  • 忙しさによる優先度の低下: 日常業務に追われ、コミュニケーションの場が確保できな
  • コミュニケーションスキル不足: 伝え方や聞き方のスキルが低い

活性化するための具体策

  1. 定期的なミーティング
    週1回の全体朝礼や月1回のランチミーティングなどで意見交換
  2. オープンドアポリシー
    経営者や管理職が誰でも話しかけやすい雰囲気をつくる
  3. デジタルツールの活用
    Slack、Chatwork、Microsoft Teams等で情報共有をスムーズに
  4. ありがとうカード
    社員同士が感謝を伝え合う制度を導入し、ポジティブな文化を醸成
  5. クロストレーニング
    部門を越えて他部署の仕事を体験し、相互理解を深める
  6. 1on1ミーティング
    上司と部下が月1回程度、1対1で30分ほど対話する機会を設定

私の体験談

私がコンサルタントとして関わった中小企業(製造業)では、社員との温度差が大きな課題となっていました。
特に、経営陣と現場スタッフの間でコミュニケーションが不足しており、会社の目標やビジョンの共有が十分でありませんでした。

取り組んだ施策
まず、社長のビジョンを明確化することから着手しました。社長の原体験に基づき、本当に実現したいことは何かを明らかにしていきました。そのうえで、そのビジョンを実現する社長の意思を経営計画として可視化していきました。
経営計画は、役員・幹部を交えて作成しました。この過程で、以下のような取り組みを行いました。

  • ワークショップ:ビジョンの共有と経営計画策定のために、役員・幹部が参加するワークショップを開催しました。
  • 部門横断プロジェクトチームの結成:経営計画の各施策を実行するため、異なる部門のメンバーで構成されるプロジェクトチームを結成しました
  • 進捗報告会:半期に一度、全社員が集まり、経営計画の進捗を共有する報告会を新谷に実施しました。
  • チャットツールの導入:日常的なコミュニケーションを活性化するため、チャットツールを導入し、部門を超えた情報共有を促進しました。

結果と学び
これらの施策を通じて、社員間の温度差は徐々に解消されていきました。
特に、ワークショップと部門横断プロジェクトは、社員の経営に対する参画意識を大幅に高め、組織の一体感醸成に大きな効果がありました。

社員からは「会社の方向性が明確になり、自分の役割がよく理解できるようになった」「他部門の仕事内容を知ることで、協力体制が強化された」といった声が聞かれるようになりました。

この経験から学んだことは、経営者のビジョンを起点とし、それを具体的な経営計画に落とし込み、さらにその実行プロセスに社員を巻き込んでいくことの重要性です。
社員が経営に参画している実感を持つことで、組織全体の一体感が高まり、新たな価値創造につながっていくのです。

次章では、よくある質問とその回答を通じて、さらに具体的な解決策をお伝えします。

Q&A

Q1: 社員との温度差を感じたとき、まず何から始めればいいですか?
A: 最初に取り組むべきは、現状の把握です。社員との対話を通じて、どのような点で温度差が生じているのかを具体的に理解しましょう。
アンケートや個別面談を活用して、社員の意見や不満を集めることが有効です。

Q2: 社内コミュニケーションを改善するためのツールは何が良いですか?
A: 社内コミュニケーションを活性化するためには、チャットツール(例:SlackやChatwork、Microsoft Teams等)が役立ちます。これらのツールを導入することで、情報共有がスムーズになり、業務の透明性が高まります。ただし、ツールはあくまで手段です。それ以上に大切なのは、コミュニケーションを活性化する風土づくりです。

Q3: 一体感を高めるために、どのようなイベントが効果的ですか?
A: チームビルディングイベントやワークショップが効果的です。これらのイベントでは、社員同士の交流を深めることができ、共通の目標に向かって協力する機会を提供します。また、定期的な全体会議でビジョンや目標を共有することも重要です。

次章では、今回の記事の内容をまとめ、組織の一体感を高めるためのポイントを再確認します。

まとめ

社員との温度差を解消し、一体感を高めることは、企業の成長に直結します。

以下のポイントを実践してみてください。

  1. 明確なビジョンを共有し、全員が同じ方向を向ける。
  2. オープンなコミュニケーションを通じて風通しの良い職場を作る。
  3. 成功体験を共有し、ポジティブな文化を醸成する。

唐澤経営コンサルティング事務所では、「コーチング」と「コンサルティング」を融合させたアプローチで、中堅中小企業が直面する組織課題を解決するお手伝いをしています。

「社員との温度差を解消し、組織の一体感を高めたいとお考えなら、ぜひご相談ください。」

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この記事を書いた人

唐澤 智哉

新卒で大手金融系シンクタンクに入社し、大手企業向けのITコンサルティングに従事。その後、2社のコンサルティングファームにて、大手企業向けの業務改革・ITコンサルティングに従事。
2012年に大手IT企業に入社し、中小企業向けのコンサルティング事業の立ち上げの中心メンバーとして事業化までを経験し、10年間中小企業向けの経営コンサルティング・ITコンサルティングや研修・セミナーに従事。
その後、2022年に唐澤経営コンサルティング事務所を創業。中小企業向けの経営コンサルティング、DXコンサルティング、研修・セミナー等のサービスを提供している。
趣味は読書で、年間200冊近くの本を読む。