唐澤経営コンサルティング事務所代表の唐澤です。
中小企業診断士・ITストラテジストの資格を持ち、20年以上にわたり、中堅中小企業の経営戦略立案や業務改革、IT化構想策定のコンサルティングに従事してきました。
このコラムでは、私のコンサルティング経験をもとに、中堅中小企業の経営に役立つ情報を発信しています。
経営の中で「目標が漠然としていて、社員をきちんと評価できない」「何を測定すべきかがわからない」といった悩みを抱えることはありませんか?
中小企業では、限られた経営資源を効率的に活用するために、的確な目標設定が必要不可欠です。そのカギを握るのが KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標) です。
適切に設定されたKPIは、経営者の意思決定をサポートし、組織全体のベクトルを一つにまとめます。これにより、社員が自身の役割を明確に理解し、成果を最大化するための行動を取れるようになります。
一方で、KPIを間違った形で運用してしまうと、目標が機能しなくなり、チーム全体が迷走するリスクもあります。
この記事では、KPIの基本的な考え方から、中小企業での効果的な設定のコツ、さらには実践的な運用方法までを詳しく解説します。
シンプルかつ成果に直結するKPIを設定し、あなたの会社をさらなる成長へと導きましょう。
KPIの基本的な考え方

KPIとは何か?
KPI(Key Performance Indicator)とは、会社が目指す最終目標を実現するために必要な行動や成果を数値化した「中間指標」のことです。これは、経営の羅針盤ともいえる存在であり、適切に設定されることで、目標達成の道筋が具体的に見えるようになります。
例えるなら、KPIは最終目的地に到達するための「道しるべ」です。
たとえば、最終的な目標(KGI)が「年間売上1億円達成」であれば、KPIはそのために必要な具体的なステップ、たとえば「月間新規顧客獲得数20件」や「顧客リピート率を10%向上」といった形で表されます。
KPIの特徴は、目標達成までの過程を「見える化」することで、経営者自身だけでなく、社員全員が自分の役割や行動が会社全体の成果にどうつながるかを理解できるようになる点です。これにより、組織全体が一体となって同じ方向を目指すことが可能になります。
KPI設定の目的と重要性
KPIを設定する目的は、会社全体を一つの目標に向かわせ、経営資源を効率よく活用することにあります。特に、中小企業にとっては、限られたリソースの中で最大の成果を引き出すために、KPIは欠かせないツールです。
KPIを設定することにより、次の3つの重要な効果が得られます。
- 目標を具体的にする
「売上を伸ばしたい」「顧客満足度を上げたい」といった漠然とした目標では、社員も具体的に何をすればよいのかわかりません。しかし、「今月の新規顧客数を20件にする」といったKPIを設定することで、目標が明確になり、社員全員が具体的な行動に移しやすくなります。 - 進捗を管理できる
KPIを定めることで、経営者は目標達成までの進捗をリアルタイムで把握できます。たとえば、「今月の売上が目標の80%に届いていない」といった状況が見える化されれば、早めに軌道修正を行うことが可能になります。これにより、目標達成に向けた無駄のない経営が実現します。 - 社員のモチベーションを高める
KPIは、社員にとって「自分の仕事が会社全体にどのように貢献しているのか?」を認識させるきっかけとなります。例えば、「自分が新規顧客を10件獲得すれば、売上予算の達成に貢献できる」という意識が芽生えることで、社員のやる気が高まり、組織全体のパフォーマンスが向上します。
特に中小企業では、KPIを「シンプルで理解しやすいもの」にすることがポイントです。複雑で測定が難しい指標を設定すると、逆に社員の混乱や反発を招く恐れがあります。
KPIは、目標達成までの道筋をシンプルかつ明確に示すツールであることを忘れてはいけません。
KPIとKGIの違い
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を理解するためには、KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)との違いを明確にしておく必要があります。
この2つは経営目標を達成するうえで密接に関連していますが、役割が異なります。
- KGIとは?
KGIは、最終的な成果を測定する指標です。いわば「ゴール」を数値で表したものと言えます。たとえば、最終的な目標が「年間売上1億円達成」であれば、この売上目標自体がKGIに該当します。 - KPIとは?
一方で、KPIは、そのゴール(KGI)に到達するために必要な「過程」を数値化した指標です。たとえば、年間売上1億円を達成するために「月間新規顧客獲得数を20件にする」「顧客リピート率を10%向上させる」といった具体的なアクションの成果を測定するものがKPIです。 - KGIとKPIの関係
KGIが「最終目的地」であるならば、KPIはその目的地に到達するための「地図」や「チェックポイント」と言えます。KPIを適切に設定することで、ゴールに向けた進捗状況を細かく確認でき、必要に応じて戦略を修正することが可能になります。 - KPIとKGIの違いを理解するメリット
多くの中小企業が陥りがちなミスは、KGIだけを設定して満足してしまい、具体的な行動計画を伴うKPIを設けないことです。たとえば、「売上目標を達成しよう」という抽象的な指示だけでは、社員は「具体的に何をすれば良いのか」わかりません。
KGIを達成するための行動をKPIとして数値化することで、社員全員が目標に向けた効果的なアクションを取れるようになります。
KGIは「目的」、KPIは「手段」という役割の違いをしっかりと理解し、両者を連動させることで、会社全体が無駄なく目標達成に向けて動くことが可能になります。
中小企業におけるKPI設定のコツ

シンプルで明確なKPIの設定
KPIを設定する際、最も重要なのは「シンプルで明確」にすることです。
中小企業では特に、経営者と社員全員が共通の認識を持つ必要があるため、複雑な指標や計算式を用いるのではなく、誰でも理解できる指標を選ぶことが基本となります。
■なぜ「シンプル」が重要なのか?
シンプルなKPIには以下のようなメリットがあります。
- 全員が目標を共有しやすい:指標がわかりやすいと、経営者だけでなく社員一人ひとりが「自分が何をするべきか?」を明確に把握することができます。
- 測定が容易:データの収集や進捗の追跡・管理が容易になるため、時間や手間を減らすことができます。
- 実行力が高まる:複雑な目標設定ではなく、明確な数字や基準を示すことで、現場の社員が迷わず行動に移すことができます。
■具体的なKPIの設定例
たとえば、「売上を伸ばす」という曖昧な目標ではなく、「月間新規顧客獲得数を20件にする」や「月間既存顧客からのリピート率を15%向上させる」といった指標を設定します。これにより、目標が具体的かつ行動につながる形になります。
■経営者が注意すべきポイント
- 一度に複数のKPIを設定しない
中小企業では経営資源が限られているため、複数の指標を追いかけると、現場が混乱し、成果が分散してしまうリスクがあります。3つか4つ、多くても6つ程度の指標に絞り、それに集中しましょう。 - 「社員が理解しやすいか?」を基準にする
経営者にとって理解しやすい指標であっても、社員がその意義や測定方法を理解できなければ意味がありません。設定後は、全社員に説明し、「理解でき、納得できるか?」を確認することが重要です。 - 短期的に測定可能なものを選ぶ
KPIは、達成状況を早い段階で確認できるものが理想です。四半期や1年間ではなく、月単位や週単位で測定可能な指標にすることで、進捗をすぐに把握し、軌道修正を図ることができます。
■まとめ
シンプルで明確なKPIは、経営者と社員全員が同じ方向を向き、無駄のない経営を実現するための鍵です。「簡単でわかりやすい指標」を設定することが、会社全体の実行力を高め、成果を最大化する第一歩となります。
CSF(重要成功要因)の特定方法
■CSFとは?
CSF(Critical Success Factor:重要成功要因)とは、企業の目標を達成するために、特に重視すべき要素のことです。言い換えれば、「目標を達成するために絶対に外せないポイント」を指します。
たとえば、飲食店であれば「顧客満足度の向上」、製造業であれば「生産効率の改善」が該当する場合があります。
CSFは、最終的な目標(KGI)を達成するために必要な条件を洗い出し、その中で最も重要なものに優先順位をつけるプロセスで特定されます。このプロセスを経ることで、無駄のない施策を立案し、限られたリソースを効率的に活用することが可能になります。
■CSFを特定するための3つのステップ
- 目標(KGI)を明確にする
まず、会社として達成したい最終目標(KGI)を具体的に定めます。この目標が曖昧では、CSFを特定することも困難になります。
たとえば、「売上を伸ばす」という曖昧な目標ではなく、「1年間で売上を1億円にする」「既存顧客のリピート率を15%上げる」といった具体的な目標を設定しましょう。 - 目標達成に必要な要因を洗い出す
次に、目標に影響を与える要因をリストアップします。この段階では、幅広く考えることが重要です。
たとえば、飲食店の場合、以下のような要因が考えられます。
・メニューの改善
・スタッフの接客スキル向上
・提供スピードの改善
・店舗内の清潔感の向上
これらの要因が、売上や顧客満足度にどのように関与しているかを分析します。 - 優先順位をつける
すべての要因が等しく重要というわけではありません。最も成果に直結するものを優先的に選ぶことが重要です。
たとえば、リピート率を上げるために、「メニュー改善」が顧客の再来店につながる可能性が高いのであれば、それをCSFとして設定します。
■CSFを設定する際の注意点
- 曖昧さを避ける
「顧客満足度を高める」といった抽象的な表現では、具体的な行動に落とし込むことができません。「顧客アンケートの満足度スコアを平均85点以上にする」など、測定可能で具体的な内容に変換する必要があります。 - リソースを考慮する
リソースが不足している場合、重要であっても現実的に実行できない要因を選ぶべきではありません。小さくても効果が出る施策から着手することが成功の秘訣です。 - 目標との一貫性を保つ
設定したCSFが、最終目標(KGI)に直結しているかを常に確認してください。たとえば、「売上1億円達成」を目指している場合に「社内イベントの充実」をCSFとするのは、目標と関連性が薄く、リソースの無駄遣いとなる可能性があります。
■CSFとKPIの関係
CSFを特定した後、そのCSFを測定可能な形に数値化したものがKPIです。たとえば、「再来店率を高める」というCSFが特定された場合、KPIとして「再来店率80%以上」や「月間新規顧客数50人」といった具体的な数値を設定します。
■まとめ
CSFを特定することで、最終目標に向けた重要な成功要因を明確にし、無駄のない経営を実現できます。このステップを踏まずにKPIを設定してしまうと、会社全体の方向性がぼやけてしまう可能性があります。経営資源を最大限活用するためにも、CSFの特定を怠らないことが重要です。
KPIを絞るべき理由
KPI(重要業績評価指標)は、会社の成功に不可欠な行動を測定するための指標です。そのため、KPIの設定は慎重に行う必要がありますが、最も大切なのは「KPIを最小限に絞る」という点です。
中小企業の経営資源は限られているため、複数の指標を追いかけることは、組織全体の混乱を招くリスクがあります。私は「KPIは3つか4つ程度に絞る」ことをおすすめしています。
■KPIを絞るべき理由
- 焦点を明確化できる
KPIを絞ることで、組織全体が何に注力すべきかを迷うことなく理解できます。例えば、営業チームが「新規顧客の獲得」に焦点を当てるKPIを持つ場合、社員全員がその目標を達成するために必要な行動を具体的に考え、実行することができます。 - 組織の一体感が高まる
KPIを絞ることで、全員が同じ目標に向かって努力するため、組織内の団結力や士気が向上します。KPIが複数存在すると、優先順位が曖昧になり、社員の意識が分散してしまいます。 - 運用がシンプルになる
KPIを絞ることで、進捗の測定や目標の管理が簡単になります。中小企業では、データ管理のリソースも限られているため、複数のKPIを追いかけるよりも、一つの指標を集中して管理する方が効率的です。
■KPIを選定する際のポイント
- 最も成果に直結する指標を選ぶ
KPIは、会社が達成したい最終目標(KGI)に最も強く影響する行動を基準に選定します。例えば、営業チームのKGIが「月間売上1,000万円達成」だとした場合、「月間提案数」をKPIに設定することが考えられます。これは、営業活動の量を増やすことで売上に直結するためです。 - 量と質を分けて考える
KPIとしては、まず「量」を測定する指標を優先することが有効です。たとえば、「提案成功率」や「受注率」といった質に関する指標も重要ですが、これらはKPIではなく「追跡対象」として数値を記録するにとどめます。理由は、量と質の両方を同時に追求すると、現場が混乱し、どちらも中途半端になるリスクがあるからです。 - チーム全員が理解しやすい指標を選ぶ
KPIは、社員全員がその意義を理解し、自分の役割を明確にできる指標である必要があります。たとえば、「新規顧客の獲得数」といったシンプルな指標であれば、誰でも行動に移しやすく、達成感も得やすいでしょう。
■量を優先したKPI設定が有効な理由
量に着目したKPIは、短期間で成果を可視化しやすいというメリットがあります。新規顧客の獲得や提案数の増加といった「行動量」を増やすことが、次の段階での質的な改善にもつながるため、まずは量を優先するアプローチが効果的です。
■まとめ
KPIは、できる限り一つに絞ることで、組織全体の集中力と実行力を最大化できます。多くの指標を管理するのではなく、最も重要な行動にフォーカスし、その指標に基づいて組織を動かすことが、中小企業が目標を達成するための近道です。まずは量を重視しつつ、質に関するデータも記録しながら、柔軟に運用していきましょう。
KPI活用による経営改善の実践法

KPIは、企業の目標達成に向けた羅針盤として機能します。
しかし、KPIを設定するだけでは十分ではありません。それを日々の経営に取り込み、実行と改善を繰り返すことで、初めて成果に結びつきます。
以下では、KPIを効果的に活用するための実践的な手法を詳しく解説します。
PDCAサイクルを徹底して回す
KPIを活用する際、基盤となるのが「PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)」です。このサイクルを繰り返し回すことで、目標達成に向けた進捗をチェックし、改善を続けることができます。特に中小企業では、スピード感を持ったPDCAサイクルの運用が重要となります。
- Plan(計画)
KPIに基づいて具体的な行動計画を立案します。たとえば、「月間新規顧客獲得数を20件」とする場合、そのために必要なアクション(訪問件数やオンライン広告の出稿数など)を具体的に決めます。この段階では、役割分担や期限を明確にしておくことが肝心です。 - Do(実行)
計画を現場で実行します。単に計画をこなすのではなく、実行段階での障害や効率の問題にも注意を払い、記録を残すようにしましょう。たとえば、予定していた訪問件数に届かなかった場合、その原因を記録して次のステップで活用します。 - Check(評価)
KPIに基づいて、実行結果を数値で評価します。この段階でのポイントは、「データが目標に対してどれだけ近づいているか?」を冷静に判断することです。計画通りに進まなかった場合、その原因を具体的に特定します。 - Action(改善)
評価結果を基に、計画やアクションを見直します。たとえば、「訪問件数は目標通りだったが、新規顧客の契約率が低い」といった場合、提案内容の質を改善する施策を盛り込みます。この改善が次のPlanに反映され、再びPDCAサイクルが回ります。
PDCAサイクルを回すたびに、計画の精度が高まり、目標達成への道筋が明確になります。
特に中小企業では、このサイクルを短期間で回すことで、迅速な対応と改善を実現することが可能です。
KPIの可視化で組織を巻き込む
KPIを効果的に活用するためには、経営者だけでなく社員全員がその意義を理解し、自分ごととして取り組む必要があります。そのためには、KPIを「見える化」する仕組みを取り入れることが不可欠です。
- 全員が理解できるフォーマットで共有する
KPIの進捗状況をリアルタイムで共有するためには、中小企業の実態に合った簡単な仕組みを整えることが重要です。たとえば、オフィスの壁に進捗表を掲示し、目標達成状況を社員が一目で把握できるようにする方法があります。また、エクセルやGoogleスプレッドシートを活用して、チーム内で進捗を色分けしたデータを共有するのも効果的です。さらに、チャットツールを使い、日々の進捗を報告する仕組みを作れば、特別なシステムを導入せずに全員で目標を意識しやすくなります。これらの方法は低コストで導入が簡単なため、すぐに実行可能です。KPIを「見える化」することで、組織全体が目標に向かう一体感を生むことができます。 - 定期的な進捗ミーティングを実施する
KPIの達成状況を共有するためには、定期的なミーティングを実施することが重要です。この場では、進捗状況の確認だけでなく、達成に向けた課題や具体的な改善案について全員で議論します。たとえば、数値が目標に届いていない場合、その原因を共有し、次に取るべき行動を全員で合意することができます。このプロセスを繰り返すことで、社員一人ひとりが自分の役割を再認識し、目標に向けた行動に主体的に取り組む意識が生まれます。また、全体での共有を通じて組織の一体感を高め、より効果的にKPIを活用する環境を作り出します。
KPIを可視化することで、社員全員が同じ方向を向き、目標に向けて一丸となって取り組む姿勢が生まれます。
定期的な見直しと調整で柔軟に対応する
KPIは、一度設定すれば永遠に有効というわけではありません。市場環境や会社の状況が変化する中で、KPIそのものを見直すタイミングが必ず訪れます。効果を最大化するには、柔軟な調整が不可欠です。
- 定期的なレビューを実施する
四半期ごと、または年度末にKPIの適切性を検討します。たとえば、営業戦略が「量」から「質」にシフトした場合、KPIも「新規顧客数」から「契約率」へ変更する必要があるかもしれません。 - KPIと実績のギャップを分析する
目標と実績の間に大きな差が生じた場合、その原因を徹底的に分析します。計画が非現実的であったのか、実行段階での障害が原因なのかを明確にし、次の改善策に反映します。 - 柔軟な調整を恐れない
「一度決めたKPIを変えてはいけない」という固定観念は捨てましょう。重要なのは、最終的な目標達成に近づくことです。必要に応じてKPIを変更することで、環境の変化に適応した経営が可能になります。
KPIを活用した経営改善は、PDCAサイクルの徹底と組織全体での共有がカギを握ります。さらに、定期的な見直しを行い、常に最適な指標を運用することで、成果を最大化できます。
中小企業の限られたリソースを最大限に活かすためにも、KPIを「使いこなす」ことを目指しましょう。
Q&A
Q1: KPIがなかなか達成できない場合、どうすれば良いですか?
A: まず、目標設定が現実的かどうかを見直す必要があります。KPIが高すぎる場合、達成困難で社員のモチベーションを下げる原因になります。一方で、KPIの達成に必要な行動量が不足している場合は、具体的なアクションを増やす施策を講じましょう。改善策としては、達成状況をより短期間(週次や日次)で確認し、小さな成功を積み重ねることが有効です。
Q2: KPIはどのくらいの頻度で見直すべきですか?
A: 基本的には四半期ごと、または半年に一度はKPIの見直しを行うべきです。ただし、以下のような場合には、タイミングに関係なく調整を検討してください。
- 市場環境が変化した場合:競合の参入や経済環境の変化で目標が現状に合わなくなった場合。
- KPIが適切でないと判明した場合:高すぎて達成不可能、または簡単すぎて効果が薄い場合。
- 事業方針が変わった場合:営業戦略や事業の優先順位が変わったとき。
- KPIが成果に結びついていない場合:設定した指標が目標達成に寄与していない場合。
これらの状況に応じて、現実的で成果につながるKPIへ柔軟に調整することが重要です。
Q3: 複数のKPIを設定する場合、注意点はありますか?
A: 複数のKPIを設定する場合、それぞれの優先順位を明確にする必要があります。すべてを同じ重みで扱うと、現場が混乱してリソースが分散します。たとえば、「新規顧客獲得数」と「既存顧客の満足度向上」というKPIがある場合、現時点でどちらを重視すべきかを経営者が明確に示すことが重要です。
Q4: 社員がKPIに対してやる気を感じていない場合、どうすれば良いですか?
A: 社員がKPIに対してやる気を感じていない場合、KPIの意義が十分に共有されていない可能性があります。KPIが会社全体の目標にどのように貢献するか、社員の具体的な行動がどう成果に結びつくのかを分かりやすく説明しましょう。また、達成に向けた努力を評価し、成果を共有する場を設けることで、モチベーションを向上させることができます。
まとめ
KPIは、目標達成に向けた行動を具体化し、組織全体を一つの方向に導くための重要なツールです。しかし、単に設定するだけでは不十分であり、効果を最大化するには、適切に運用し、改善を繰り返すことが求められます。
この記事で紹介したポイントを振り返ると、以下の3つが特に重要です。
- シンプルかつ明確なKPIを設定すること:社員全員が理解し、行動に移しやすい指標を選ぶことが成功の第一歩です。
- PDCAサイクルを徹底して運用すること:KPIを基に進捗を測定し、計画と行動を柔軟に見直すことで、目標に着実に近づけます。
- 全社員と共有し、一体感を高めること:KPIを「見える化」し、定期的な共有の場を設けることで、組織全体が目標達成に向けて力を結集します。
これらを実践することで、中小企業でも限られたリソースを最大限に活用し、持続的な成長を実現できます。KPIを通じて目標を「見える化」し、行動を一貫させることで、あなたの会社を次のステージへ導きましょう。
私たち唐澤経営コンサルティング事務所では、「コーチング」と「コンサルティング」を組み合わせ、中小企業の経営課題解決と成長戦略の策定を強力にサポートいたします。
経営に関するご相談や無料相談をご希望の方は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。

経営者が抱える経営課題に関する
分からないこと、困っていること、まずはお気軽にご相談ください。
ご相談・ご質問・ご意見・事業提携・取材なども承ります。
初回のご相談は1時間無料です。
LINE・メールフォームはお好みの方でどうぞ(24時間受付中)