唐澤経営コンサルティング事務所代表の唐澤です。
中小企業診断士・ITストラテジストの資格を持ち、20年以上にわたり、中堅中小企業の経営戦略立案や業務改革、IT化構想策定のコンサルティングに従事してきました。

このコラムでは、私のコンサルティング経験をもとに、中堅中小企業の経営に役立つ情報を発信しています。

経営者として企業を率いるあなたは、日々多くの重大な意思決定を下しながら、従業員、取引先、顧客からの期待やプレッシャーを感じていることでしょう。そんな中で、次のような悩みを抱いたことはありませんか?

「経営者としての自分の役割は何なのか?」

実は、企業を成長に導く経営者の役割は、大きく3つの柱に集約されます。

  1. 会社の方向性を示す
  2. 戦略的な意思決定を行う
  3. 人と組織の可能性を引き出す

私たち唐澤経営コンサルティング事務所では、「コーチング」と「コンサルティング」を融合させたアプローチで、経営者がこれらの役割を効果的に果たせるよう支援しています。

本記事では、3つの役割を深掘りし、それを実現するための具体的スキルも解説します。

経営者としての視点を整理し、自信を持って次の一歩を踏み出すヒントを得ていただければ幸いです。

経営者が担う3つの重要な役割

会社の方向性を示す

経営者の最も重要な役割の一つが、明確なビジョンを示すことです。

  • 顧客層は誰か? どんな価値を提供するのか?
  • 企業が目指す長期的なゴール(ビジョン)は何か?

この「方向性」を定義することで、企業全体の活動に一貫性が生まれ、従業員も「なぜ、この事業を行うのか?」を理解しやすくなります。ビジョンが共有されると、組織内のモチベーションが高まり、同じゴールに向かって協力し合う文化が育まれます。

ビジョンについて詳しく知りたい方は、以下の記事もお読みください。

戦略的な意思決定をする

企業を成長させるために、経営者には戦略的な意思決定が求められます。特に重要なのが以下の3点です。

  1. 成長分野の選択
    市場調査や競合分析を通じて、自社の強みを活かせる市場・分野に注力する。
  2. 必要な経営資源の確保
    銀行融資や出資などを通じてタイムリーに資金を調達し、設備投資や人材採用を行う。
  3. リスク管理
    新規事業や拡大に伴うリスクを柔軟に見極め、慎重かつ大胆に計画を進める。

これらを的確に実行することで、企業が持続的に成長できる土台が整います。

人と組織の可能性を引き出す

経営者の役割の3つ目は、社員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体で活かす環境を作ることです。

  • 自由な発言や新しいアイデアが歓迎される企業文化
  • 適切な評価制度とフィードバックの仕組み

社員のモチベーションを高め、個々の成長を促すことは、企業全体の活力につながります。経営者が率先して「挑戦を奨励する雰囲気」を生み出し、公正な評価と改善のフィードバックを行うことで、組織力が大きく向上します。

経営者に求められる3つのスキル

リーダーシップと意思決定力

経営者には、日々の意思決定が企業の存続や成長に直結するという責任があります。

  • 情報収集と分析力
    市場や競合他社の動向、内部データなど多様な情報を正確かつ迅速に把握する
  • スピード感
    チャンスを逃さないためには、的確なタイミングでの判断が不可欠
  • 決断に対する責任感
    リスクを伴う決断にも真剣に向き合い、結果を受け止める度量が必要

■成功事例:中小製造業の新製品開発
ある中小製造業のクライアントでは、既存市場の改良ではなく、新たな市場開拓を決断。社内には反対の声もありましたが、結果的にニッチ市場で競争力を発揮し、売上を大きく伸ばすことに成功しました。

市場の変化に対応する柔軟性

デジタルトランスフォーメーション(DX)の進行や世界情勢の変化など、企業を取り巻く環境は予測不能です。経営者には、常に変化を先取りしながら事業モデルを進化させる柔軟性が求められます。

  • ビジネスモデルの再構築
    従来の手法に固執せず、新たな価値提案を検討し続ける姿勢。
  • 市場動向のモニタリング
    定期的なリサーチと外部情報の収集を欠かさない。
  • 新技術への適応
    AIやクラウドなど最新のテクノロジーを素早く取り入れて競争力を強化。

進化論で有名なダーウィンは、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもなく、唯一、生き残る者は変化できる者である。」という言葉を残しています。変化を恐れるのではなく、それを成長へのチャンスと捉える積極的な姿勢が経営者には求められます。

コミュニケーション力とチームマネジメント力

経営者のビジョンや戦略がどんなに素晴らしくても、伝わらなければ実行されません。社内外のステークホルダーとのコミュニケーションを円滑に行い、組織を一体感のあるチームにまとめる能力が不可欠です。

  • 明確な指示と説明
    意思決定の背景や方向性をわかりやすく伝える
  • 傾聴力
    社員や取引先の意見・フィードバックを積極的に取り入れる姿勢
    • 他者からの意見やフィードバックは素直に傾聴する、そしてそれらの情報を基に最後は自分が決める」という姿勢
  • 適切なフィードバック
    成果を認め、改善点は建設的に指摘することでモチベーションを高める

Q&A

Q1: 経営者として最も重要な資質は何ですか?
A: 決断力と実行力です。
経営者には、常に不確実な状況下で判断を下すことが求められます。市場の変化、競争環境の激化、内部の問題など、あらゆる要素が絡み合う中で、最適な選択肢を見極める力が求められます。しかし、判断するだけでは不十分です。重要なのは、その決断を迅速かつ確実に実行へと移す「実行力」です。どんなに優れた戦略も、実行されなければ意味を持ちません。また、失敗を恐れずに挑戦する「勇気」も不可欠です。リスクを伴う決断であったとしても、企業の未来を見据えた大胆な行動が時には必要となります。そのため、経営者は常に自己の判断に責任を持ち、その結果を受け入れる覚悟が求められます。

Q2: 従業員のモチベーション維持のコツは?
A: 明確なビジョンの共有と適切な権限委譲が重要です。
従業員が自発的に高いモチベーションを維持できる環境を作るためには、まず経営者自身が明確なビジョンを示し、それを全社員と共有することが必要です。ビジョンは単なる目標設定ではなく、「会社が目指すべき未来像」を具体的に描くものです。このビジョンに共感できれば、社員は自分自身の役割や貢献意識を強く感じるようになります。
さらに、従業員一人ひとりの成長機会を提供することも重要です。そのためには、適切な権限委譲が欠かせません。社員に責任ある仕事を任せ、自ら考え行動できる裁量権を与えることで、彼らは自己成長を実感し、モチベーションが自然と高まります。また、成果に対して適切なフィードバックや評価を行うことで、社員は自分の努力が認められていると感じ、更なる成長意欲につながります。

Q3: 経営の悩みを相談する相手は必要ですか?
A: はい、必要不可欠だと考えます。
経営者は多くの場合、自らの判断や決定について孤独な立場に置かれます。特に中小企業では、組織内で相談できる相手が限られていることが多く、その結果として経営者が一人で悩みを抱え込んでしまうことがあります。しかし、このような状況では視野が狭くなりがちであり、冷静かつ客観的な判断が難しくなることも少なくありません。そのため、外部からの視点や専門家の意見を取り入れることは非常に重要だと考えます。例えば、信頼できるコンサルタントやメンターとの定期的な対話によって、新たな視点やアイデアが得られるだけでなく、自分自身の考え方や戦略を整理する貴重な機会にもなります。また、同業他社や異業種の経営者とのネットワークづくりも有益です。他者との意見交換によって、自社では気づかなかった課題や解決策へのヒントが得られることもあります。このようにして外部からのサポートを受けることで、自分一人では見えない視点から問題解決への道筋を見出し、より良い判断と戦略的な意思決定が可能になります。「成功のため・目的達成のためであれば、利用できるありとあらゆる手段を使う」、経営者にはこのようなしたたかな面も必要だと思います。

まとめ

企業を成長に導く経営者の役割は、次の3つに集約されます。

  1. 明確な方向性を示す
  2. 戦略的な意思決定を行う
  3. 人と組織の可能性を引き出す

これを実現するために必要なスキルは、以下の通りです。

  • リーダーシップと意思決定力
  • 柔軟な対応力
  • コミュニケーション・マネジメント力

私たち唐澤経営コンサルティング事務所では、「コーチング」と「コンサルティング」を組み合わせ、経営者がこれらの役割を果たすためのサポートを行っています。

「企業と組織の未来を共に描きましょう。」

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この記事を書いた人

唐澤 智哉

新卒で大手金融系シンクタンクに入社し、大手企業向けのITコンサルティングに従事。その後、2社のコンサルティングファームにて、大手企業向けの業務改革・ITコンサルティングに従事。
2012年に大手IT企業に入社し、中小企業向けのコンサルティング事業の立ち上げの中心メンバーとして事業化までを経験し、10年間中小企業向けの経営コンサルティング・ITコンサルティングや研修・セミナーに従事。
その後、2022年に唐澤経営コンサルティング事務所を創業。中小企業向けの経営コンサルティング、DXコンサルティング、研修・セミナー等のサービスを提供している。
趣味は読書で、年間200冊近くの本を読む。